【オークス】優勝:トールポピー

2008(平成20)年5月25日 G1・東京競馬場 芝2400m フルゲート18頭、曇・稍重

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (15) トールポピー 牝3 55.0 池 添 2.28.8 35.3 462(+ 2)
2着 (6) エフティマイア 牝3 55.0 蛯 名 アタマ 35.4 432(+12)
3着 (10) レジネッタ 牝3 55.0 小牧太 1 1/2 35.2 440(+ 8)
4着 (7) ブラックエンブレム 牝3 55.0 松 岡 ク ビ 35.8 444(-16)
5着 (17) オディール 牝3 55.0 安藤勝 1/2 35.2 440(- 2)
  • レースは正攻法の馬に有利な流れとなった。渋った馬場でペース全体が落ち着いたが、1000m61.4、レース前後半74.3‐74.5という数字よりも、特にこのレースをよく表現していると思われるのは、ペースが落ち着く600m〜直線間際の1800mの1200mの間のタイム、すなわち隊列が落ち着き勝負どころの直線に至るまでのまさに「道中」のラップである。以下の数字は00年以降のオークスを対象に、左からスタート後600m〜1800mのタイム、その間の最速ハロンタイムと最も遅い区間のハロンタイム、そして最速と最遅区間のタイム差を並べたものである。
  • スタート後600m〜1800mの
    タイム
    スタート後600m〜1800mの
    最速ハロンタイム
    最も遅い区間のハロンタイム 最速と最遅区間のタイム差
    08年 77.2 12.7 13.0 0.3
    07年 74.3 11.8 12.8 1.0
    06年 75.3 11.6 13.5 1.9
    05年 77.3 12.2 13.4 1.2
    04年 75.6 12.1 13.1 1.0
    03年 77.1 12.6 13.4 0.8
    02年 75.6 12.0 13.0 1.0
    01年 76.0 12.1 13.1 1.0
    00年 78.5 12.6 13.6 1.0
  • 一目瞭然。馬場の差はあろうが、今回のオークスは前例のない僅か0秒3の間で進む淀みない展開。ただ、注目すべきはあくまでも最速区間の12.7と最遅区間の13.0というタイム。速すぎず、遅すぎず、体力を消耗させるような厳しいラップではなく、むしろ楽な流れだった。極端に遅くなる区間がなかったことで、各馬初めての距離となる馬が多かったが折り合いに苦労せずに済んだのも大きい。この流れは、ワンペースで前々で粘るウォーエンブレム産駒にとっては大歓迎の流れで、事実ブラックエンブレムは4着と頑張った。
  • しかし、同産駒で逃げたエアパスカルはペースを落としてタメを作れずに失速。そして切れ味勝負のリトルアマポーラにとっては、前の各馬の体力が残っているため差し切れず。つまり、逃げ馬にとってはタメが作れず、差し馬にとっては各馬楽に流れに乗っているので後ろから差し切ることが難しいという、極端な位置取りの馬には厳しい展開となったのが今回のオークス。ある程度前、あるいは中団にいて、どのようにでも対応できるタイプに有利な流れ、王道と言える正攻法で地力で押し切れる馬が勝つ、まさに女王決定戦に相応しいレースとなった。
  • この点で桜花賞ほど極端に下げずにいたトールポピーは正解。父の血と言えばそれまでだが、本来は中長距離で正攻法ができる馬なのだろう。むしろ阪神JFのような差す競馬が例外なのではないか。ひとまず混戦牝馬路線にようやく女王格が出た。池添騎手の判断については評価が難しいが「勝つため」にはあの局面ではあれしかなかったのは事実。普段のレースなら前が塞がったと諦める場面だろうが、G1、そして思い入れのある馬ということで、一か八かの乗り方となってしまったのだろう。大きな事故にならずに良かったが、結果オーライというわけにはいかない。JRAの裁定には疑問点も多い。G1ならばギリギリの騎乗は許されると取られかねない。厳しいレースになりラフプレイと思い切った騎乗の境界線が失われるG1だからこそラフプレイにブレーキをかける措置が必要である。
  • 5着オディールは一番悔いが残る結果。「いざ」という直前にトールポピーの切り込みによって完全に前が塞がれ、2、3馬身分後退。立て直したが脚を余した。ためらわずに素早くスペースに飛び込んでいれば…。6着レッドアゲートは絶好の位置取りで4角の手ごたえも良かったが、直線では反応なし。言い訳ができない負け方。一線級と戦うことなく来てしまったこの馬にとってはいい経験となった。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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