【安田記念】優勝:ウオッカ

2008(平成20)年6月8日 G1・東京競馬場 芝1600m、フルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (5) ウオッカ 牝4 56.0 岩 田 1.32.7 34.0 486( +8)
2着 (16) アルマダ セ7 58.0 ホワイト 3 1/2 34.8 512( +6)
3着 (3) エイシンドーバー 牡6 58.0 福 永 3/4 34.3 464( +4)
4着 (14) エアシェイディ 牡7 58.0 後藤浩 アタマ 34.0 484(-10)
5着 (17) スズカフェニックス 牡6 58.0 武 豊 アタマ 34.1 468( 0)
  • ウオッカの鮮やかな勝利に脱帽。ゴール前で岩田騎手が、優雅に左ムチを独特のリズムで愛馬の走るリズムに合わせて入れるシーンは、音楽的な、あるいは儀式的な美しさのある光景だった。
  • 状態面での良化も勝因の一つだが、今回はやはり騎手。武豊騎手の前回の乗り方は間違いだったと再度確信した。内枠に入ったウオッカ、そして内で競馬をするのが好きな岩田騎手。一旦下げて中団から外に出すのが妥当かと思っていたが、なんと先団。これは、結果的に新たな選択肢の提案だろう。当初陣営とは「後ろから」という話だったが、この臨機応変の判断はウオッカの今後の戦法にとって非常に大きな意義があった。
  • 今まで、基本的にウオッカは差し脚勝負。いかに道中なだめて脚をため、末脚を残せるかが常に課題となっていた。しかし、実は末脚は何も「後ろから」繰り出す必要はない。スタミナ豊かなこの馬は、前でも同じ「末脚」を使える馬ではないか。戦前から明確に決めていたわけではないにしろ、岩田騎手はこのような仮説を持っていたのではないか。
  • レースは全ラップが1秒以内の変動で収まる、持久力が求められる淀みない展開となったが、スタミナに自信のあるこの馬には折り合い面からも歓迎。ペースにうまく乗り、岩田騎手、決して手綱を引くことも押すこともなく馬なりで先団4番手のまま4角あたりから押し上げ始め、前回よりも早めのスパート。一瞬で逃げたリキシオーを置き去りにすると、最後まで持続する脚を弾けさせ1年ぶりの勝利を飾った。
  • 細江純子氏がフジテレビで「持続する脚がなく一瞬の脚がある馬」と言っていたが、これは全く逆。ダービー、ジャパンカップを見れば「一瞬の脚よりも持続力のある脚」の馬というのは明白。前走時の解説でも書いたが、ある程度長い区間で爆発する脚こそがこの馬の持ち味。だからこそ、前走ギリギリまで仕掛けを待ち瞬発力に頼った武豊騎手は間違い。
  • 近戦の「詰めが甘い」という課題に対して、武豊騎手の回答は末脚をできるだけ温存させて仕掛けの区間をギリギリまで短縮することで、減じた瞬発力を補う作戦。対して岩田騎手の回答は、前々で押し切り、鈍くなった一瞬の切れ味ではなく、この馬本来の長所である底力と持久力を前面に出すという全く違う回答。結果、後者が正解だった。末が甘く感じられたのは、東京のような広いコースではなく、比較的小回りのコースでこの本来の持続する末脚を発揮できる条件ではなかったためだろう。一瞬の切れ味ではなく、底力、持続力に着目した岩田騎手が正解だった。
  • それにしてもヴィクトリアマイルよりタイムを1秒1短縮。これが真の力か。恐れ入った。素直に超A級馬の評価をもう一度与えたい。こういう勝ち方ができると、もう手がつけられないだろう。現状、折り合いの心配の要らないマイル戦では、この乗り方でいいのではないだろうか。王道の競馬で、ウオッカの第2章が始まる。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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