【菊花賞】優勝:オウケンブルースリ

2008(平成20)年10月26日京都、G1・芝3000mフルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (14) オウケンブルースリ 牡3 57.0 内田博 3.05.7 34.8 484( -2)
2着 (1) フローテーション 牡3 57.0 藤岡佑 1 1/4 34.6 484( -6)
3着 (5) ナムラクレセント 牡3 57.0 和田竜 1 1/2 35.4 486( -2)
4着 (8) スマートギア 牡3 57.0 武 豊 3/4 35.1 454(+10)
5着 (9) マイネルチャールズ 牡3 57.0 松 岡 2 35.7 460( 0)
  • 「強い馬が勝つ」最後の一冠はあらゆる意味で特殊。かつてはステップレースに3000mの嵐山Sを経る馬もいたが、近年ではどの馬もこの距離初めてでの出走。予想も不確定要素が多い難しいレースとなっている。さて、一般的に長距離で最低限必要とされるのは「折り合い」だが、特に今回は1000mから2000mの経過がここ10年で最も遅い66秒7。この急ブレーキに対応できるだけの我慢強さがまずは問われた。ここで脱落したのは3番人気スマイルジャック。前走に続いて行きたがり飛ばす前2頭の後ろで単走の形になりスタミナを大きくロス。下手に抑えるよりもいいと考えたのだろう。それはそれで正しいと思うが、いずれにしてもこれでは長丁場に耐えられない。実際、16着と大敗してしまった。
  • そしてこの急ブレーキゆえに、今回のもう1つのポイントは「仕掛けどころ」となった。一旦ペースが緩んで京都名物3角の下り坂。ここで先団の馬たちは十分に脚をためられたが、有力馬は後方で下手に先に動けない状況(例えば、ここでマイネルチャールズは戦前積極策を主張していたものの乱高下するペースの中で、自分の仕掛けどころを見失ってしまい…)。一方、後方の馬たちも前を楽に行かせすぎたくはないものの、自分が動いて最後まで持たせる自信のある馬も不在。結果、3角から4角は各馬の位置取り変わらずに互いに様子見、一団のまま。2000m経過時点で大方の馬の消耗度は少なく、どの馬も展開の影響は受けにくい流れで、長距離競馬にありがちな「上がりの脚」が問われるのではなく、純粋に「スタミナ」が問われるレースとなったのではないか。こういうレースを自分で動いていける馬は能力が高い。
  • それがオウケンブルースリだった。重賞未勝利馬オウケンブルースリ、しかしレースぶりには風格を感じさせた。1周目、ノットアローンの掛かり気味の無謀な逃げで場内が大きく沸くが、オウケンは中団後ろでジッと待機。ただ、前走はギリギリまでためたが、これは折り合いの「試験」だったのだろう。決して本番での切れ味勝負を意図した試走ではなかったはず。どの馬も動かない坂の下り。内田騎手は3角過ぎで「後ろにいては届かないかも」と考え、前走改めて感じた能力の奥深さを信頼し、ただ1頭坂下で外々を早めに動いた。
  • この判断は、1つは前半ハイペースだったことでインで垂れる馬が多く予想され、進路を塞ぐ危険性を回避するためでもあっただろうが、それ以上に外形的な意味でダービー馬、皐月賞馬が不在のこのレースで、何よりも力で捻じ伏せるレースをしてまさに「王権」を打ち立てるという意味もあっただろう。王者の行進で直線では先頭に立つと迫るフローテーションを封じて、最後の一冠を制した。
  • 前走神戸新聞杯では、あからさまに今回を意識した最後方からのお試しレース。この時馬券を買っていたファンの中には様々な思いはあっただろうが、少なくとも内田騎手はプロの仕事をしたということ。今回は後方でペースの乱高下にも全く巻き込まれず、淡々と自分の競馬をしただけ。役者が違った。どういう条件でもレースができそうだが、一線級との戦いは前走だけで何ともまだ評価が難しい。次のレースが試金石となりそうだ。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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