【天皇賞・秋】優勝:ウオッカ

2008(平成20)年11月2日東京、G1・芝2000m フルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (14) ウオッカ 牝4 56.0 武 豊 R1:57.2 34.4 490( 0)
2着 (7) ダイワスカーレット 牝4 56.0 安藤勝 ハ ナ 35.2 498( 0)
3着 (2) ディープスカイ 牡3 56.0 四 位 ク ビ 34.5 510( +2)
4着 (16) カンパニー 牡7 58.0 横山典 ハ ナ 33.5 460(+10)
5着 (3) エアシェイディ 牡7 58.0 後藤浩 ク ビ 34.4 490( -2)
  • 史上に残るライバルのせめぎ合い。一度は決着したかに見えた同世代の名牝2頭の戦いだったが、遂にG1の舞台で一矢報いたのはウオッカ。そして、それは同時に中距離における日本競馬の最高到達点を示したレース。平成の名勝負が、また1つ。間違いなく今世紀の競馬を振り返る時に、このレースは必ず言及されるべきレースとなるだろう。速いタイムで走る馬が強い馬。それが競馬だと実感させる好勝負だった。
  • ダイワスカーレットは調教を見る限り本調子ではなく、スタート後、力んで行きたがった。その後何とか落ち着くが、角居厩舎の刺客というわけではないだろうが、トーセンキャプテンが突っつくように2番手で、スカーレットはペースを下げられずに進む。だが、これは彼女を最も利す展開。並みの馬であれば当然苦しいだろうが、この馬は一貫したハイペースでこそ自身の最大の武器である、「持続する先行力」が十分に発揮できる展開となった。
  • 1000m通過が58.7。このペースでは他馬は動くに動けないが、後半も58秒台という驚異的な前後半ラップ。これでは、付いていこうが、後ろにいて脚をためようが関係なし。特に驚くべきは最初とラスト以外のハロンラップが全て11秒台。「速く走り続ける」というサラブレッドとしての基本的な能力が試されるG1に相応しい、能力の限界が試される流れ。兄同様に、地力のない馬たちをふるい落としてしまうダイワスカーレットの刻む「じゃじゃ馬姫ペース」で、実力通りの決着。
  • 結果は最後の最後でかわされたが、完調手前でこの粘り。負けて強しというより、とにかく強い。結果はどうあれ強い強い強い。直線入ったところでは沈む感じもあったが、次元の違う底力で決してバテない。この後激走の反動も心配と言えば心配だが、一度使われた上積みを考えれば、一体どれだけ強いのか…。まだこの馬の「底」を誰も知らない。おそらく、4歳秋の時点までこう感じさせ続ける馬は皆無だったのではないか。現時点でこれだけのパフォーマンスをしながら、まだその前途を想像できる幸福を我々に与えてくれる名馬にただ感謝。
  • さて、折り合いが問題視されたウオッカだっただけに、このハイペースは都合が良かった。中団でスムーズに進み、直線で追い込みをかける。ライバルを深追いせず、また離れすぎずの絶好の位置取り。直線ではディープスカイとの叩き合いで伸び脚炸裂。最後は僅か2cmの差でかわしきった。距離が伸びた場合の折り合いは依然として疑問はあるが、確実に本格化を迎えている。次はジャパンカップだろうが、今の安定感なら安田記念の時にも述べたがそう簡単には崩れないだろう。今回のようにいいペースで流れるレースは合っているだけに、スカーレットと再戦した場合、距離問わずもう一度大接戦が見られることだろう。
  • それにしても、紆余曲折あってここまでまたたどり着いた陣営の努力は素晴らしい。今までこの馬に乗った四位、岩田騎手の試行錯誤も決して無駄ではなかった。全ての経験が遂に結実して名馬を生んだ。天才肌のスカーレットとは違う、才能だけではなく「過程が生んだ」名馬。それにしても、競馬の神様はこれだけの名馬を2頭とも牝馬として競馬界に与えたもうた。気は早いが年に1頭ずつしか生まれない、貴重な子供たちの活躍が今から楽しみだ。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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