【朝日杯FS】優勝:セイウンワンダー
2008(平成20)年12月21日中山、G1・芝1600m フルゲート16頭、晴・良
順位 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 着差 | 上り | 馬体重 |
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1着 | (3) | セイウンワンダー | 牡2 | 55.0 | 岩 田 | 1.35.1 | 35.0 | 514(+10) |
2着 | (11) | フィフスペトル | 牡2 | 55.0 | ルメール | アタマ | 35.2 | 450(+ 6) |
3着 | (5) | ブレイクランアウト | 牡2 | 55.0 | 武 豊 | 1/2 | 35.1 | 446(+10) |
4着 | (15) | ホッコータキオン | 牡2 | 55.0 | 飯 田 | ク ビ | 36.1 | 498(+ 2) |
5着 | (13) | ピースピース | 牡2 | 55.0 | 吉田隼 | 2 | 35.1 | 444(- 6) |
- 数字上でのポイントはちょうど3角から4角へ向かうラスト800mから600mの区間。ここでペースが上がらず中山戦としては異例の直線勝負となった。通常、小回りコースでは3角残り800mからペースが上昇していき長い脚が必要とされるが、今回は残り600mまでにペースが逆に緩んでいく展開。これは、フィフスペトル、セイウンワンダー、シェーンヴァルトなどの有力馬が後方で牽制しあったせいで前が楽に進む展開。しかし、さすがにここで後方も動き始める。
- 3角過ぎ、武豊騎手のブレイクランアウトがいち早くこれを察して動いていくとフィフスペトルも上昇。武豊騎手は少し仕掛けが早かったと悔いたが、結果的にラスト400mを残して1分11秒5というスローの流れでは、ここで動かざるを得なかった。ここで一番うまく立ち回ったのが勝ったセイウンワンダー。フィフスペトル、ブレイクランアウトが外を回っていったのに対し、岩田騎手らしく内に馬を入れてロスを防ぎ、上記2頭が外を追いながら上がった一方で持ったまま位置取りを上げることに成功。これで脚を最後までためられ、仕掛けのタイミングをワンテンポずらしたことで最後までリードを守りきれた。最後の差は実力差というよりもコース取りの差。新潟で見せた大外一気の豪脚とは対照的なインを抜けるレース。岩田騎手の腕が大きくこの勝利には貢献した。
- さて、これでクラシックの有力馬の1頭となったのに違いはない。久々でこの走りも評価。ただ何分にもレースのレベルの判断が難しい。スローではあったがタイムは平凡。乗り方1つで着順が変わった可能性もあり、上位は互角で決して抜けた存在ではないだろう。ラジオNIKKEI杯のリーチザクラウン、ロジユニヴァースといったあたりのレースぶりも見る必要もある。
- 2着のフィフスペトルは、4角で一瞬前が塞がったことでエンジンの掛かりが遅れてしまった。京王杯2歳S時はゲットフルマークスを楽に逃がし過ぎて届かず。脚を余す競馬が続く。ルメール騎手、ブレイクランアウトを意識しての位置取りだっただろうが、道中はスムーズさを欠いてしまい…。力は勝ち馬と互角。3着のブレイクランアウトは確かに力はあるが、早めに仕掛けたことで脚が最後鈍った。この点、前走でも伸び切れなかったことを考えると、まだ馬自身に底力が備わっていない気も…。さて、来週の予想を考える上で重要なファクターとなりそうな武豊騎手の状態だが、4角でフィフスペトルをインに押し込みコーナリングをするあたり、既に万全の状態にあると考えていいだろう。フィフスペトルの加藤師が惜しんだように、ここで中に入れられたことがセイウンワンダーの勝利につながった面もある。
- 4着はホッコータキオン。結果的にこのペースであれば、強気に飛ばしても良かったと思うのだが。ただ、確かに先々を考えれば抑える競馬を試したいのは理解できる。目標はあくまでこの先。それでも、勝つためにはここ2戦のレコードタイムで走った内容を考えれば、スピードを強調する作戦を採るべきだった。ためた割りに上がりが36秒台ではいただけない。5着ピースピースは、4角での手ごたえは毎度いいがそこから伸びきれない。ただ、今回は大外を回って鋭い追い込み。距離伸びた方がこの馬はいいだろう。7着シェーンヴァルトは、北村友騎手が動くべきところで動けず…。内枠だったということもあろうが、それにしても勝負どころで後ろ過ぎの上、前が馬群で思うような動きが出来なかった。35秒台前半の上がりでもこれでは届かない。道中の位置取りが課題か。
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- 研究員アサノ プロフィール
- レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
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