【皐月賞】優勝:アンライバルド
2009(平成21)年4月19日中山、G1・芝2000m、フルゲート18頭、晴・良
順位 | 馬番 | 馬名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | 着差 | 上り | 馬体重 |
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1着 | (16) | アンライバルド | 牡3 | 57.0 | 岩 田 | 1.58.7 | 34.6 | 478( 0) |
2着 | (4) | トライアンフマーチ | 牡3 | 57.0 | 武 幸 | 1 1/2 | 34.4 | 474( -4) |
3着 | (15) | セイウンワンダー | 牡3 | 57.0 | 内田博 | 1/2 | 34.7 | 516(-10) |
4着 | (17) | シェーンヴァルト | 牡3 | 57.0 | 北村友 | 2 1/2 | 34.9 | 470( +6) |
5着 | (6) | ベストメンバー | 牡3 | 57.0 | 四 位 | 1 1/2 | 35.8 | 496( +2) |
- ペースを占う上でスタート後の先手争いが注目されたが、最初の2ハロンは22秒9。これは過去10回では99年、02年に並ぶ最速タイ。さらに3ハロン目までのタイムでは初の34秒台となる34秒8。テンから激しい先行争いとなった。さらに前半・後半1000mのレースタイムに占める割合を見ると、それぞれ49.8%、50.2%。03年以降、皐月賞のスロー化が始まり、前半の方が速かったのはわずかに一昨年のみ。久々にややハイペースとなった。この結果、最も中途半端な位置取りになってしまったのはリーチザクラウン。大外ながら4角スタートで長い直線を利用して前に行きたかったが、内枠のゴールデンチケット、アーリーロブストらも前を主張した結果、外を回らされた上に4、5番手の外。この位置で速いペースを走らされたのだから、相当タフな展開となってしまった。
- この流れの中で3強の位置取りだが、リーチザクラウンは前述のように先団の外。スタートで行き脚をつけたせいで逆に掛かり気味に1角へ。その後はずっと力んだ走り。1番人気、ロジユニヴァースの位置取りは悪くない位置。中団前、ハイペースで馬群がバラけたことでゴチャつくこともなく楽に外に出せた。少なくとも向こう正面までは理想的な位置取り。勝ったアンライバルドは、こういう展開では絶好の位置取りだった。後ろで脚をためられたこともあるが、ライバル2頭を前にして相手の出方次第で追い出すタイミングが図れる位置。懸念されていた折り合いも全く問題なし。後はいつ動くかを考えれば良かった。
- この位置取りの差で、4角までにまずリーチザクラウンが失速。早々に手ごたえをなくして後退。ロジユニヴァースは敗因が不可解ではあるが、中団でもがいて鞍上の指示に応えられずこちらも失速。最後に生き残ったのは、脚を温存していたアンライバルド。4角で前が混む事を避けて一瞬で大外へ。直線に入った時の脚がまた凄かった。厳しいペースで苦しんだ先団の馬の失速ぶりとの強烈なコントラスト。一瞬で抜け出し完勝。着差、タイムともに申し分なし。相対的な意味では、展開の恩恵を3強の中で最も受けはしたが、絶対的な力も一枚上。一瞬の脚は一級品。東京コースでは、質の違う末脚が求められるが、一瞬にしてギアを変えられる器用さはむしろ東京向き。血統背景を考えれば長い脚も使えそうだし、ある程度速いペースになっても問題なく対応できるスピードも今回示した。王道を歩める本格派。
- 1番人気のロジユニヴァースは14着と大敗。位置取りは申し分なく敗因は不可解であるが、唯一の不安である厳しい競馬を経験していないという点が出てしまった気も…。弥生賞も然り、確かに無敗でここまで来たが、レースの内容という点では馬の力をそのまま活かす、換言すれば作戦云々ではなく、他馬との力の差で押し切るレースが多かった。G1の舞台のように実力が高いレベルで拮抗したメンバー同士のレースでは、ある程度勝つための自分の形がなければ辛い。アンライバルドが、スプリングSでスローでの折り合いを経験したことで、今回スムーズに道中進むことができたのと好対照である。今すぐに力量を否定することはできないが、あまりにも淡白に負けすぎだ。
- 2番人気リーチザクラウンも13着と大きく負けたが、厳しいレースでの追走という、ある程度明確な敗因があるだけに、今後を展望する上でまだ収穫があった。中途半端な先団でスピードを生かしきれなかったという意味では、もう1回逃げてのレースで再考の余地はある。加えて、馬体を見る限り体重の大きさに比べてまだ実が詰まっていない印象。本当に良くなるのはもっと先だろうと思う。
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- 研究員アサノ プロフィール
- レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
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