【安田記念】優勝:ウオッカ

2009(平成21)年6月7日東京、G1・芝1600m、フルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (3) ウオッカ     牝5 56.0 武 豊 1.33.5 35.7 492( -2)
2着 (6) ディープスカイ  牡4 58.0 四 位 3/4 35.5 524(+14)
3着 (4) ファリダット   牡4 58.0 安藤勝  1  35.3 470( +4)
4着 (9) カンパニー    牡8 58.0 横山典 ハ ナ 35.5 468( -2)
5着 (7) ライブコンサート セ5 58.0 和田竜 1 1/2 35.8 476( -2)
  • 名馬のレースで言われる言葉、「このレースは10回走ってもこの馬が勝つだろう」。その10回のうちの、最悪のシナリオのレースとなったに違いない今回のレース。それでも、強かった。やっぱり勝ったのはウオッカ。100回走っても勝つだろう。
  • 道中は、先団の後ろのイン。コンゴウリキシオーという明確なペースメーカーがいたことで掛かる心配もなし。ここまでは計算通りだろう。ただ、武豊騎手自身も反省したように直線でロス。残り500m、イメージとしては昨年と同じ早目に抜け出して押し切る作戦だったはず。しかし、ここからというところで前に壁。前にローレルゲレイロ、左にディープスカイ、右前にサイトウィナー。閉じ込められてしまったかのように行き場をなくしてしまった。
  • これは、意図したかしていないかに関わらず、四位騎手の動きが作り出した状況とも言える。ウオッカの後ろから切れ味を武器にして差す作戦のディープスカイ。道中も直後でマークして直線、その作戦通りにウオッカに襲い掛かったが、先行馬が後退してきたことでゴチャつき、ウオッカと同じく馬群の中に位置していたディープスカイもここで進路が狭くなる。しかし、前のコンゴウリキシオーとローレルゲレイロの1頭分の隙間を見逃さなかった。そして、ここに飛び込んだ時に右隣にいたウオッカを先述のローレル、サイトの壁の後ろに閉じ込めた。これを意図していたのなら大したものだが、このおかげで実際ウオッカは行き場をなくし、ディープスカイが敢然と先に先頭に立つことができた。競馬とは相手があって成立する競技。自分の力を出し切るだけではなく、ライバルの力を殺してしまうことも重要な戦法。その意味では、四位騎手の乗り方は完璧に近い。
  • さて、閉じ込められたウオッカだったが、外へ外へと徐々に転進。ラスト200mでようやくスペースを見つけると遅れて武豊騎手のゴーサイン。12秒台に落ちたところで、実質最後の1ハロンだけで脚を使い、豪快に一瞬の切れ味で差しきってしまった。
  • コンゴウリキシオーの刻んだペースで、600m通過が33秒4と過去10年で最速。そして、前後半の半マイルが45秒3と48秒2。3秒近く後半がペースダウンするという異例のラップ構成。これは、ハイペースというより、地力のなさゆえとも解釈できるが、ともかく先団にいた馬たちの多くが直線で後退する展開。そのおかげで、ウオッカは最後に届いたとの見方も可能ではある。ただ、それ以上にウオッカ自身の最大の長所が生きたレースだった。それは、どんなラップでも持ったままで追走できること。今回は前を塞がれ、動けなかったという事情もあったが、昨年も然り、ペースが上がったところでも無理せず追走できるスピード能力の高さが、脚を使いたいところまで位置取りを下げずに脚をためられ、爆発させることができる要因だろう。そして、短い区間でも凝縮して脚が使えるようになったことも大きい。高い位置で脚をためて、一瞬にして突き放す…。これなら、どんなペースもお構いなし。ダービー馬ではあるが日本競馬史上、最も完成されたマイラーなのではないか。
  • 2着以下は、ウオッカとは着差以上の力の差があった。勝ち時計は先週の大雨により多少時計が掛かるようになってきたとはいえ、02年以来の1分33秒台。力を出し切っていないウオッカにとっては、もっと速い時計で勝てた余地があるが、先述のように前半の時計は極端に速いとはいえない中での、失速してしまった他馬は力を出し切ってのこの時計。マイルにおける評価は下げざるを得ない。2着ディープスカイは、プラス14キロが1つの敗因ではあるだろうが、今回は完璧な競馬。これで負けるのだから、この馬のベストディスタンスは実はマイルではないのかもしれない。あるいは、本当はやはりギリギリまで脚をためるレースが合っているのかもしれない。本当のこの馬にとってのベストな条件、戦法は実はまだ分かっていないような気がする…。その意味では、次走の宝塚記念(G1)のレースぶりに注目したい。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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