【天皇賞・春】優勝:ジャガーメイル

2010(平成22)年5月2日京都、G1・芝3200m、フルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (12) ジャガーメイル 牡6 58.0 ウィリ 3.15.7 33.7 472( -8)
2着 (16) マイネルキッツ 牡7 58.0 松 岡 3/4 34.2 506( -4)
3着 (4) メイショウドンタク 牡4 58.0 武 幸岡  5  34.9 488( -6)
4着 (7) ナムラクレセント 牡5 58.0 小牧太 1 1/2 34.6 496(+10)
5着 (2) エアジパング セ7 58.0 岩 田 2 1/2 35.0 440( -2)
  • 結果はともかく、個人的に一番シビレたのは、マイネルキッツの松岡騎手。騎 手に必要なのは、勝負師としての「勝ちに行く積極的な姿勢」と、馬の長所を 見出し最大限に引き出す冷静な「戦略」。この2つが合致する場面はなかなか 見られない。ただ勝ちに行こうとしても馬の特性を踏まえた作戦でなければ、 騎手の独りよがりになり、逆に馬の脚質、特性ばかりに近視眼的に拘っても、 その時の展開に合わせて動き勝負どころを見逃さない姿勢を持たなければ「飼 い殺し」になる。松岡騎手の騎乗はこの2つが完全に一致した騎乗だった。
  • 外枠を引いたゆえ、前に行くチャンスと見ての先行策。意識的にスタートから 追っ付け2、3番手確保。この選択は2つの意味で正しかった。まず、この馬 の特性の点から。もともと脚をためて進む馬だが、常に反応が悪く位置取りを 押し上げるのに苦労するタイプ。だが、最初から前にいられれば逆にしぶとい 脚を使って粘れる馬。その長所を引き出すことに成功。もう1つは展開面。前 半の1000m通過時点では、60秒7とこれ自体は平均的な数字。ただ、全体のレー スタイムに占めるこの区間の割合を算出すると、31%と過去10年で3番目に低 い時計。低いということは、それだけこの区間のレースにおいて占めるタイム が短いということであり、つまりハイペースで進んだということ。隊列もかな りの縦長となっていた。ただ、ポイントはその後の1000m。実はここでペース がかなり落ち着き63秒9。過去10回と比べて2番目に遅い時計。最初の1000m のタイム差が3秒2。トーセンクラウンの一件があったとはいえ、基本的には 前目の馬の決着となったのは頷ける。この流れで先手を奪えたのは大きい。
  • 終始前々で、最後の直線では果敢に底力勝負に持ち込むべく、早めのスパート で勝ちに行った。ジャガーメイルの切れ味に屈したが、人馬一体の見ごたえ十 分、内容十分のレース。ここ数年は、マイネルチャールズなど大一番で「?」 と思わせる、消極的な騎乗もあったが、一皮むけた印象。まだまだこの騎手は 上を目指せる。
  • ただ、勝ったのはジャガーメイル。ウィリアムズ騎手がテン乗りでうまく乗っ た。もともと長距離で出世してきた、そのスタミナと切れ味が大きな武器。同 型の差し馬が多いメンバー構成だが、一歩抜きん出るには、道中多少前目にい ればアドバンテージを得られると考えたのだろう。外国人騎手はこういうシン プルシンキングが非常にうまい。いつもより前目の中団から進み中盤ペースが 緩むと脚をためられた。こうなると、位置取りが前のこの馬より後ろの馬の逆 転は困難。4角でもスッと先団にとりつくとマイネルキッツを圏内に置く。直 線では先に抜けたその2着馬をきっちりとらえた。なかなか乗り難しいこのコー スでウィリアムズ騎手の騎乗は冷静。特に仕掛けのタイミングは、後続の出方 をうかがいつつ、前方との距離感を大事にしながら、ギリギリまで待ってのス パート。勝つには「ここしかない」という難しいタイミングの判断ではないが、 いくつかあった「このタイミングなら勝てる」ポイントで見事に仕掛けた。
  • さて、トーセンクラウン。4角でエアジパングのインに入れようとしたように 見えるが、そこを締められて外に驚くように飛んでしまい…。ちょっと強引だっ たか…。スイープされてしまった後方の有力馬たちは、確かに不利は痛かった。 トウカイトリック、メイショウベルーガといった一発の期待された馬たちはこ こでレースから脱落。大外にぶん回されたエアシェイディは追うのを止め、メ インストリームは脚を痛めてしまった。それでも、勝ち馬に前の位置から33秒 台の脚を使われては、まず勝ち負けは難しかったはず。
  • さて、1番人気のフォゲッタブルは6着。この馬のここまで示してきた能力、 数字を考えるならばこの負けは説明が難しい。道中は勝ち馬の直後。だが全く 付いて行けずに勝負圏外へ。スタートで多少出遅れたとはいえ、長丁場で脚の 消耗はそれほどではなかったはず。ひとまず消去法的に状態面が挙げられる、 挙げざるを得ないのだろうが…。残念。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
    競馬を楽しむためのメルマガ!!★名古屋で冠レース!!活字量たっぷり読み物メイン!解説、ニュース、提言、クイズ、登録馬紹介、新馬診断・物語、グルメ、豆知識、コラム、地方競馬観戦記!
    規約に同意して