【小倉記念】優勝:ニホンピロレガーロ

2010(平成22)年8月1日函館、G3・芝2000m、フルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (18) ニホンピロレガーロ 牡7 56.0 酒井学 1.57.9 34.8 498( -8)
2着 (11) バトルバニヤン 牡6 57.0 和田竜 ハ ナ 34.7 488( 0)
3着 (1) スマートギア 牡5 57.0 武 豊 1 3/4 34.4 460( +2)
4着 (3) ナリタクリスタル 牡4 55.0 ク ビ 34.8 480( -2)
5着 (2) ステップシチー 牡6 52.0 川 田 ク ビ 35.1 494( -2)
  • まず、今回特殊だったのはラスト3ハロンに入った地点。直前の7ハロン目は12秒1だったが、一気に11秒5にペースが上がっている。しかし、例年、この区間では、ほとんどペースが上がらない。多くの年では11秒台で中盤の区間、時計が推移し、実際近4年、7ハロン目とラスト3ハロン目の最初の区間つまり8ハロン目のタイムが共に11秒台となっていた。イメージとしてはレース全体を通じてペースがあまり変わらず区間タイムが推移する、ワンペースに近いレース。長い区間で一定のペースを使い続ける脚が必要という印象。しかし、今年はこの傾向とは異なる展開。ラップがガラッと変わる「勝負どころ」が出現したのだ。
  • では、こういうレースでどう乗るべきか。あるいはどういう脚質の馬が強いのか。定石で考えれば、瞬発力勝負となったのだから、前の馬となろう。ただ、この解釈はレース全体の時計の推移を見ると難しい。なぜならば1000m通過のタイム58秒6は、数字だけではややハイペースの部類。隊列を見てもオースミスパークが引っ張る縦長。また、前後半の1000mの時計は、それぞれ58秒6、59秒3と後半が遅くなっている。つまり、後半だけ見るとスローによくみられるような前有利の瞬発力勝負と考えうるが、実際には道中やや速い流れだったと言えるのだ…。何か矛盾するような展開…。
  • この矛盾を止揚するためのカギは、中盤の4ハロン目から7ハロン目までの800mの時計だろう。ここでの時計は今回48秒4。01年以降で3番目に遅い時計だったが、1番目、2番目は今回の勝ち時計よりも遅い決着。相対的な意味で、レース全体の時計におけるこの区間の時計の比重は非常に大きく、つまりここでかなり脚を休められたとも解釈できる。前半は確かに速いラップだったものの中盤で脚をため、結果ラスト3ハロンでの一気の上がりの勝負が可能となったのではないか。
  • これは予想も騎乗も非常に難しい展開で、ある意味では変則的な流れ。脚質的にこういう流れを利するのは、スタミナのある先行馬(ただ脚をためられる区間が少ないだけに「かなり」のスタミナが必要だろう)か、中団待機の差し馬。極端に前だとこのペースでは耐え切れない。逆に極端に後ろだと、基本的には後半は瞬発力比べとなったゆえ、自分より前の馬を差し切れない危険がある。変則的なラップの中で「中団」で立ち回った馬が流れを利した。
  • さて、実際のレースではどうだったか。時計の出る馬場となっている小倉。レースでは早め早めを意識した位置取りを取る馬も多く、1番人気のサンライズベガは2番手で向こう正面へ。結果的にはこの位置取りは松岡騎手が述べたように「行き過ぎたかもしれない」こととなった。やはり、上述のように中盤で脚をためきれないままの切れ味比べでは厳しかったか…。いつものように気持ち後ろ、つまり中団であれば…。
  • 一方で、酒井騎手のニホンピロレガーロも、いつもは極端な位置取りをして決め手勝負に持ち込むものの今回は中団。酒井騎手にしてみれば、気楽な気持ちでの戦法だったのだろうが、これがこの流れに合った。これよりも後ろであったら、先述のように届かなかっただろう。結果的には大正解。3角からジワジワと上がり4角では外から先頭を窺う勢い。一気のペースアップにも対応し、末脚を発揮。バトルバニヤンとの叩き合いを僅差制して初重賞。結果的な絶妙の位置取りを選択した酒井騎手をまずは褒めるべきだろう。長距離で実績を挙げていたように、このペースでも追走で消耗なく進めた。今回のように前々でペースの緩急が激しいレースを、しかも小回りでこなせたのは今後の選択肢を考える上で大きな収穫だろう。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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