【エリザベス女王杯】優勝:スノーフェアリー

2010(平成22)年11月14日京都、G1・芝2200m、フルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (6) スノーフェアリー 牝3 54.0 ムーア 2.12.5 34.0 468(---)
2着 (9) メイショウベルーガ 牝5 56.0 池 添 34.4 508( +4)
3着 (5) アパパネ 牝3 54.0 蛯 名 1 3/4 35.1 494( +4)
4着 (17) リトルアマポーラ 牝5 56.0 福 永 ハ ナ 35.5 474( +2)
5着 (10) ヒカルアマランサス 牝4 56.0 ルメー 3/4 34.6 476( +6)
  • 引退レースとなるテイエムプリキュアが予想通り先頭に立ち、万感の想いを込めて隊列を引っ張る。隊列が長くはなったが、1000m通過は60秒1と平均的なペース。見ごたえがあったのは、有力馬の位置取り。まずは引っ張られ気味に先団につけたのは、3冠女王のアパパネ。リトルアマポーラと並走しながら何とか折り合う。この1番人気馬を徹底マークし、その位置取りから自身の作戦を組み立てたのが、メイショウベルーガとスノーフェアリーだった。メイショウベルーガからすれば、アパパネと付かず離れずの位置をキープしたいところ。切れ味で勝負したい馬だけに、直線後半でアパパネをかわすようなレースを想定していたはず。スノーフェアリーは初めての日本の馬場。とにかく1番人気の馬の後ろでどうとでも動ける位置をキープしたかったところだろう。力関係が不明確なメンバー構成では定石の乗り方。昨年は、展開が大きく勝敗を決した、G1としてはかなり特異な決着。今回も先団の馬たちは馬群を比較的引き離して進んだが、あくまで有力馬たちはライバルを絞った上での位置取り。実力馬同士の駆け引きがまた名勝負を生んだ。
  • 3コーナーまでには、アパパネ、スノーフェアリー、メイショウベルーガという並び。ここで10馬身はあった先頭のテイエムプリキュアとの差を後続がジワッと詰めに掛かる。ここでの逃げ馬の刻んでいたラップは11秒台。後続は当然、これ以上の時計で詰めていったはず。前半の時計が楽だったたけに各馬余力はあっただろうが、スタミナと京都外回り仕様の長く脚を使い続ける能力が問われる流れとなった。こうなれば最も、この展開にフィットするはずの馬がメイショウベルーガ。アパパネの後ろからゴーサインを出すと、ややエンジンの掛かりが遅くポジションを上げるのに苦労しているようにも見えたが、これは全体のペースアップ自体もかなり速かった為に、そう見えたのだろう。この馬らしく、大外に出すと最後までジックリと末脚を伸ばしてアパパネを一気にかわして先着。馬の特性、能力は十分に出し切った。だが、結果はあくまで2着。
  • 全くの計算違いはスノーフェアリーという存在だった。これは仕方がない。池添騎手は「アパパネに勝つ=レースに勝てる」という作戦だったのだから。評価は分かれようが「不確定要素」だった外国馬も含めての作戦を立てることは難しかった…。スノーフェアリーもまたアパパネをマークする作戦。仕掛けのタイミングも特に工夫なく、4コーナーでアパパネが仕掛けると同時にスパート。こちらはインに切れ込んでいった。直線での瞬発力は圧巻。英愛オークスという泣く子も黙るビッグタイトルの持ち主ではあったが、欧州の重厚な馬場でのタイトル。だが、あっさりと日本の馬場も克服。一瞬で抜け出すと、もうどの馬届かないリードを奪って圧倒的な強さを見せ付けた。
  • 力が違う勝ち方。長い区間でのスパート合戦となり、スタミナがモノを言ったのは確かだが、この自在性。初めてのメ対戦ンバー、コースで1番人気に付いていって勝ちきってしまうというレースは、よほどの力が無ければできない。恐れ入った。だが、これで、今まで手に汗した牝馬3冠のドラマ、牡馬相手に立ち回って勝ち抜いてきた牝馬たちの歴史が否定されたわけではない。ここが今の世界での現在地。スノーフェアリーは本当の世界最高峰の存在。もちろん、今まで海外でG1を勝った日本馬もいるが、最も評価が高いクラシックディスタンスで、本当の意味での大レースを勝った馬はいない。日本競馬の現実を知ることで次の時代が初めてスタートできる…その記念日となったのではないか。参戦に感謝である。
  • 2着メイショウベルーガは、上述のように自分の競馬でアパパネを差し目標は達成。だが、インであの脚を使われては…。力は出し切った。3着アパパネは多少序盤で力んでいた。激戦の疲れ、テンションが高くなってしまったこともあるだろう。マイラー説が一部にあるが、スタミナという意味では、決してマイルに留まらない。むしろ、だらだらと脚を使わされるようなコースは合わないのではないか。ひとまず、今年競馬界を盛り上げてくれたことには感謝。外国場、古馬の次にこの馬という着順は、今のこの馬の力、世代の力をよく現しているのではないか。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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