【ジャパンCダート】優勝:トランセンド

2010(平成22)年12月5日阪神、G1・ダート1800m、フルゲート16頭、晴・稍重

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (3) トランセンド 牡4 57.0 藤 田 1.48.9 36.6 512( -2)
2着 (14) グロリアスノア 牡4 57.0 小林慎 ク ビ 36.1 526(+10)
3着 (12) アドマイヤスバル 牡7 57.0 小牧太 1 1/4 36.5 520(+14)
4着 (8) バーディバーディ 牡3 56.0 池 添 ハ ナ 36.7 482( +6)
5着 (1) シルクメビウス 牡4 57.0 田中博 36.3 496( +4)
  • レースは、強力な逃げ馬、トランセンドが難なく好スタートからハナを奪う。どの馬も、トランセンドの逃げを神聖視するかのように、触れることを怖がり各馬後ろでひたすら追従。シルクメビウスは、面従腹背。後方で脚をためて神話の最終章での逆転を狙う。先団を形成したのは意外な顔ぶれも。ラヴェリータ、ダイシンオレンジは予想通りではあるが、3歳馬バーディバーディが積極的に2番手を追走。そして1コーナーではアドマイヤスバル、グロリアスノアといった追い込み脚質の馬たちも前目へ。トランセンドらしい淀みのないペース。1000m通過が60秒ちょうどと過去2回よりも速いペースでラップを刻み続ける。後続になし崩し的に脚を使わせ続け、消耗戦に持ち込む算段。だが、ちょうど道中の真ん中3ハロンである、4ハロン目から6ハロン目の時計は36秒4と平均的。全体としてみれば決して無謀な逃げではなかった。そのため、極端に後ろにいた馬にとってはどうしても前へ行くのが難しい展開となってしまった。基本的には前が止まらず、ある程度の位置にいなければ差し馬であっても届かない流れとなり、上位馬は中団あたりの馬まで。
  • トランセンドはバーディバーディの執拗なマークにも慌てることなく残り300mまで相手を見ての競馬。本当のライバルはシルクメビウスだっただけに、ここでバーディバーディにここまで気を使わされることは誤算だっただろうが、藤田騎手は冷静。力では上と信じていたのだろう。ギリギリまで仕掛けを待って追い出すと、抵抗する3歳馬を貫禄で最後突き放し、後続の猛追も凌いで初のG1タイトルの獲得となった。メンバー的にはG1とはいえ軽量級が揃い、力関係の比較が難しい外国馬も今年は不在となれば、藤田騎手が言うように絶対に負けられない一戦だったのは確か。そこで王様の競馬で他を圧倒。同じ逃げ切りでも、昨年のエスポワールシチーとは違い派手さはないが、この馬らしいマイペースでの逃げで強さを見せた。淡々とペースを刻む結果、時計も常に優秀。スケールの点でまだまだ歴代の勝ち馬と肩を並べるには、必要な試練が山ほどある。だが、屈指のスピードタイプとして、胸を張っていい勝ち方。2着グロリアスノアは小林騎手に手が戻ったが、いい判断を見せた。1コーナーで久々の中距離戦のためか、行きたがるところを見せて上がっていったが、小林騎手がどうにか宥めて中団まで下げることに成功。ペースに付き合わせられていれば、スタミナ切れして最後のあの伸びはなかっただろう。脚をうまくためられた。4コーナーでも前にうまく馬を入れてなだめ続け、直線入ってからの仕掛け。最後は勝ち馬を凌ぐ脚で突っ込んできたが間に合わず。今回は相手のペースになってしまったので仕方がないが、この距離でも再びメドを立てたのは収穫。
  • 3着アドマイヤスバルもある程度前を意識した位置取り。昨年の5着馬とはいえ、前回先着を許した馬がシルクメビウスしかいない今回、この上位は当然とも言える。直線では仕掛けられても反応がイマイチだったが、最後はしぶとく伸びた。叩かれれば、それなりに伸びるが…。この辺りがこの馬の課題だろうか…。地方競馬を主戦場にしているが、長い直線でもこの脚では厳しいか…。4着バーディバーディは一番このレースで驚かせた馬だろう。ユニコーンS(G3)を優秀な勝ち方で勝ちあがり、世代最強を印象付けながらも、その後がサッパリ。正直、前日の重賞を3歳馬が総なめしたように、芝での3歳世代のレベルの肩さは際立っていたが、ダートでは評価が難しかった。あるいは砂初参戦のアリゼオにすら逆転のチャンスを見出せるほどの主力不在ぶり。しかし、再び復権と言っていい。気難しいところもあるだけに、こういういい流れで進むレースは追走しやすいのだろう。最後は脚色鈍ったが、地力は確かに示した。
  • 5着は2番人気のシルクメビウス。道中は腹を括って最後方に近い位置から動かず直線勝負。その判断は、シルクメビウスの実力をフルに発揮させるためには間違っていなかったが、残念ながら展開が合わなかった。外を回したこともあり、36秒3という平凡な末脚。最後の最後の1ハロンはもの凄い伸びを一瞬見せたが…。全体が止まらない流れでこの馬のキレが生きなかった。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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