【有馬記念】優勝:ヴィクトワールピサ

2010(平成22)年12月26日中山、G1・芝2500m、フルゲート16頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (1) ヴィクトワールピサ 牡3 55.0 デムー 2.32.6 34.6 512( +2)
2着 (7) ブエナビスタ 牝4 55.0 スミヨ ハ ナ 33.8 464( +2)
3着 (11) トゥザグローリー 牡3 55.0 ウィリ ク ビ 34.4 524( -4)
4着 (14) ペルーサ 牡3 55.0 安藤勝 3/4  34.4 510( 0)
5着 (4) トーセンジョーダン 牡4 57.0 三 浦 1 1/2 34.9 490(+10)
  • 戦前の予想は難しかったが、逃げたのはトーセンジョーダン。エイシンフラッシュも行きっぷり次第ではハナも持さない構えだったが、ゲートで後手。結局ハナ争いとはならずにトーセンジョーダンが無理なく隊列を引っ張る。そして、オウケンブルースリも先団の一角。横山典騎手に手が替わって何より積極策。折込済みとはいえ、面白い作戦。しかし、誰よりも場内を賑わせたのはペルーサ。なんとまともにスタートを決め、先団の一角を追走。調教が生きたか、ゲートを出た場合の想定通りの位置取り。この位置からあの脚を使えるのならば、ちょっと抗戦できないのでは…と思わせる先行策。基本的に他馬の作戦は、瞬発力勝負ではまずブエナビスタには勝てないとなれば、前々でリードを奪い、ブエナビスタより高い位置から脚を使って押し切るという作戦だろう。この時点でブエナビスタは中団。位置取りは関係のないタイプでまず心配はないと思ったが、意を決して前に行った有力馬たちにとっては、望んだとおりの展開だったはず。ペースも絶好。推定で1000m通過が62秒と、このクラスでは破格に遅いラップ。結果的にもトーセンジョーダンが掲示板に残り、1周目3、4番手にいたトゥザグローリーが3着と完全に前有利の流れとなっていった。
  • 淡々とした流れで1周目のスタンド前を通過。レースは動きを見せず隊列も変わらず。だが向こう正面で一気にルーラーシップが外から上昇。このペースに我慢ができなくなったか。ルメール騎手のこの判断は馬の特性を勘案すれば、どうかという気もするが、ペースを活かすためには悪くない乗り方だろう。だが、これに反応したのがヴィクトワールピサのデムーロ騎手。ルーラーシップに合わせるように外に出して一緒に上昇。一気にこの馬だけは先頭に並びかける。早仕掛けが得意なデムーロ騎手らしいのり方でもあるが、この判断は絶妙。というのは、ここで一気にペースが13秒5→12秒3→11秒5へとハロンを重ねる度に加速。もちろん、ここで動かずに先団で待機したまま、直線で後ろから来るだろうブエナビスタと瞬発力比べに臨む選択肢もあっただろうが、とにかくペースが遅かった。出来る限りブエナビスタとの差を広げたままで直線を迎えたかったのだろう。デムーロ騎手は自分でペースを動かした。この動きは一見無謀にも見えるが、実際はそうではない。勝ち時計を例年並みの2分30〜1秒台と想定するならば、このペースのままではそれよりもかなり下回る決着となりかねない。ヴィクトワールピサにとってはまだ余力がある状態での向こう正面の追走。多少ペースを上げたところでスタミナは持つはず。それならば、無理をしてでもブエナビスタとのリードを広げる必要があったのだ。ため過ぎてタメ殺しとなるよりも、動いて余分なスタミナと交換にブエナビスタとのリードを選んだデムーロ騎手の思い切りの良さは素晴らしい。
  • 直線に入るとその思惑通り。先頭に立つとすぐにゴーサイン。押し切りを狙う。思った通りに抜け出して、そのまま押し切ると思われたが、外からブエナビスタの強烈な追い込み。ペース、位置取りに関係なく帳尻を合わせる、3歳春の暴力的とも思われる末脚を髣髴とさせる、セオリーも何もないという鬼脚を繰り出して外から並びかけたところがゴールだった。入線の瞬間は残ったと思ったが、写真判定の画像では微妙。場内はブエナビスタが交わしたのではないかという声もあったが…。結局押し切っていたのはヴィクトワールピサだった。このハナ差は大きい。もう1回走れば勝てているかは分からないほどの僅差。だが、デムーロ騎手の細心かつ大胆な騎乗が最後のハナ差で栄冠をもたらした。春は一瞬の末脚で中山のインを切り裂いてきたが、凱旋門賞(仏G1)等遠征を経てモードチェンジ。硬軟自在のレースができるようになった。特に、前走ジャパンカップ(G1)はある意味では着を拾いに行くようなロスのない慎重な騎乗ではあったが、新しいこの馬の一面を見せた。その先行策がここで花開いた。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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