【天皇賞・春】優勝:ヒルノダムール

2011(平成23)年5月1日、G1・芝3200m、フルゲート18頭、曇・稍重

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (2) ヒルノダムール 牡4 58.0 藤田伸 3.20.6 35.3 474( 0)
2着 (15) エイシンフラッシュ 牡4 58.0 内田博 1/2 35.2 490( -2)
3着 (3) ナムラクレセント 牡6 58.0 和田竜 1 1/2 36.3 502( +2)
4着 (7) マカニビスティー 牡4 58.0 小 牧 1 1/4 35.4 476( -2)
5着 (14) トウカイトリック 牡9 58.0 川 田 ク ビ 35.1 454( +2)
  • それにしても、結果としては波乱。人気を集めたトゥザグローリーが折り合いを欠き、ローズキングダムも中途半端な競馬で大きく負けてしまった。長距離はやはり馬の精神力、そして騎手の腕という格言を今一度、思い出させるレースとなった。戦前から予想されていたことだが、逃げ馬がいない今回のメンバー。個人的には無謀な逃げを打って沸かせてくれる馬が出てくれないか、期待していたのだが…。今回は実力伯仲。奇策では通じないということか。押し出されるように先頭に立ったのはゲシュタルト。折り合いが心配されたナムラクレセントだったが、今回は前走と同様に2番手でスンナリ折り合う。そして、トゥザグローリーはその直後。先団。しかし、このペースに苦しそうにもがく場面も。1000m通過が64秒2。これは過去2番目に遅いラップとなった(ちなみにこれより遅かったのが02年の65秒7。勝ち馬は何の因果かマンハッタンカフェだった)。
  • このペースに各馬、自分の馬の走りを踏まえながら、それぞれの作戦を遂行。しかし、結果的に勝敗を分けたのは、ここで他馬の動きに惑わされずに自分の競馬ができたかどうかということだった。まず抑えきれず、G1初挑戦のコスモヘレノスがスタンド前で我慢できずに上昇。先頭へ。先述のように異常なラップで、当然、スパートを仕掛ける騎手も出てくることは予想できる。ただ、この中谷騎手の上昇は結果的に非常に中途半端だった。この後の1000mのレースラップも実は64秒台。この2000mの通過タイム128秒7は過去10年でやはり2番目に遅い時計。ここでどうせならば、スタミナを十分に生かしての「逃げ」が見たかったところだが…。ただ、責められない部分もある。何しろ、さらに先頭を脅かした馬が来たからだ。それは予想外のトゥザグローリー。
  • 四位騎手が2周目の1コーナーからジワッと指示をすると先頭を奪い逃げ込みの態勢。だが、果たしてこれだけの距離で強引な競馬をして勝てるだけのスタミナ、底力はあるかは未知。馬をスムーズに走らせることを最優先にした結果だろう。四位騎手は責められない。ここで他の有力馬も動き出す。このスローの反動で後半は長い区間での消耗戦となることが予想され、マイネルキッツにとっては好都合。早めに前々の位置につけて松岡騎手臨戦態勢。そして、一旦下げていたローズキングダムも、ライバルトゥザグローリーを視界に捕らえるべく、先団までもう一度上げる。そして、後半はやはり速い時計の連続。2〜3000mの時計は59秒台と一転して初めて1分を切る時計。向こう正面では、先頭のトゥザグローリーの外からナムラクレセントがスパート。一気にペースが上がり、11ハロン目にして12秒フラット。やはり予想とおりの、京都らしいラップではあるが、いつも以上に長い区間での叩き合いとなった。
  • さて、先述のようにここまで実は全く動いていなかったのが、ヒルノダムールだった。藤田騎手、最内で脚を温存。とにかくペースの乱高下に関係なく自分自身で競っていたペースで淡々と走っていく。この差が4コーナー以降で出てくる。外から抜けようとする、トゥザグローリー、ローズキングダムは既に道中でアタフタしたせいで、脚がなくバックギア。ここで冷静にヒルノダムール、藤田騎手は馬群の隙間を選んでゴーサイン。流れに乗った上、インでロスのない競馬。最後の最後だけ脚を使うこの馬の特性を十二分に活かせる乗り方だった。直線でも一瞬で抜け出して遂に無冠の明け4歳世代の有力馬が古馬にしてG1タイトルを奪い取った。
  • 正直、大阪杯のレースは、この馬のスピード能力の高さを示していたが、それがそのままこのレースに通じるか疑問もあった。7番人気という評価もそれを反映しているといえよう。だが、藤田騎手がそれをうまく補った。目まぐるしく後ろから次々に飛んでくる馬たちをやりすごし、最後の直線でインを突いた。文句のつけようがない、申分のない騎乗だった。それにしても、同世代の馬たちに比べてこの馬の安定感は抜群。もしかしたら、あるゆる条件での力の比較をした場合の総合力という意味では、一番強い馬なのかもしれない。
  • 2着エイシンフラッシュも頑張った。この馬も内田騎手がひたすらに後方で脚をためる競馬。折り合い、スタミナが不安視される馬だけに、ただただ、後ろでタイミングを待つだけの競馬となった。このおかげで、4コーナーから人気馬が強気に行き過ぎたためスタミナ切れをおこしてしまう中、よく差し込んで2着。この馬はもっともう少し短い距離でも。折り合いも問題なく、昨秋の分の失点を取り戻すだけの力を示してくれたのは大きい。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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