【NHKマイルC】優勝:グランプリボス

2011(平成23)年5月8日東京、G1・芝1600m、フルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (13) グランプリボス 牡3 57.0 ウィリ 1.32.2 34.0 500( -6)
2着 (17) コティリオン 牡3 57.0 小 牧 1 1/2 33.4 468( -2)
3着 (1) リアルインパクト 牡3 57.0 内田博 3/4 34.2 496( +2)
4着 (3) エイシンオスマン 牡3 57.0 後藤浩 3/4 34.7 470( +8)
5着 (8) プレイ 牡3 57.0 柴田大 ク ビ 34.8 492( -4)
  • 逃げ候補、それも距離不安を抱える、玉砕型、破滅型の逃げ馬もいただけにどういうペースになってしまうか読めないままのスタート。刻まれたペースだが、確かにハイペースといえる600m33秒9、そして800mが45秒7。これだけを見ると確かに速い流れと言える。
  • だが、よく見るとこの45秒台の数字自体はこのレースの歴史において、それほど珍しいものではなく昨年は44秒台(ただし日本レコード決着だったが…)。その前年は45秒台を記録している。現代の日本競馬においては芝の改良、維持方法の改善などでスピードが出る舞台となっている。その影響をよく勘案すべきだろう。つまり、額面通りに捉えてしまうとこの数字が前の馬たちを消耗させるという意味での厳しいハイペースとなろうが、それは過度な評価になる危険がある。
  • ただ、一方ではこのペース自体は折り合いに不安のある馬にとっては、楽に追走できるペースであったことは事実だろう。その恩恵を一番に受けたのは言うまでもなく、勝ったグランプリボスであった。外枠から出るとやや力が入っているような走りだったが、ウィリアムズ騎手が前に壁を作って折り合いがついた。前走、前々走と折り合いが課題となっていたこの馬。前走は藤岡騎手が敢えて馬の後ろで我慢をさせることを覚えさせようと4コーナー、勝負を捨ててまでギリギリまで待たせたが、やはりこういう馬は教育的なことをするよりも、ウィリアムズ騎手のように強制的に折り合いを整えさせるような乗り方をする方がいいのだろう。精神力は一朝一夕では身につかない。オルフェーヴルのように…。
  • さて、道中先団の後ろの絶好の位置で進んだグランプリボスに対して、他の人気馬、まずコティリオンはスタートで致命的な出遅れをしてしまい最後方から。インの奇数枠を希望していた小牧騎手。全く逆の枠となってしまい、不安が的中。4番人気のリアルインパクトは中団の内で待機。さらに3番人気のエーシンジャッカルも中団の馬群の後ろ。いずれにしても、この警戒すべき切れ者たちは、グランプリボスより全て後ろとなっていた。このことも勝因の一つ。このレース、確かに先述のようにハイペースに分類されるが、決してガンガンととばした結果として各馬が消耗するようなペースではなかった。特に4コーナーの直線に向かう直前の区間でのラップタイムだが、ある種の「タメ」ができている。
  • 残り800mからの1ハロンは11秒9と、このレースの区間タイムで最も遅いタイムである。ここでは、フォーエバーマークが逃げ続けていたが、後続各馬の他は動かない。上述のように有力馬たちが比較的後ろにいたこともあろうが、ここでフォーエバーマークが逃げ馬の定石として脚を一旦休める「タメ」を作ったが各馬もそれに合わせるように小休止していたのだ。この結果、グランプリボスの位置取りが生きる。直線に入ってラップタイムは11秒3へと加速。東京コースではよくあるこの直線に入ってすぐのペースアップ。だが、このレースでは実は多くない。この直線に入る直前、直後のハロンタイムだが、昨年は同じ、一昨年は僅か0秒2の加速となっている。つまり、今年はこのペースの中でもある意味、直線での上がりの脚勝負となったと言える。こうなれば、「瞬発力」と「位置取り」がカギとなろう。ここで、その両方のアドバンテージを手にしていたのが、グランプリボス。先団の一角から残り400mでゴーサイン。残り200mで一気に加速をかけると最後は突き抜ける完勝劇だった。
  • もともと瞬発力は一級品。だが、折り合いの問題があっただけになかなか結果に結びつかないこともあった。今回はある意味では展開が向いた。素晴らしい勝利。サクラバクシンオーの後継として、ここにきて「マイラー」が出てきた。今後の日本の競馬の発展を考えた場合でも、この馬は貴重な存在となるだろう。海外遠征も視野に入れているが、スピード優位のタイプだけにこの馬の良さが出るのは、ヨーロッパではなく、香港あたりという気もするが…。2歳王者が新興勢力と、朝日杯FSで負かした馬を再び負かしての勝利の意味は大きい。このまま、無事に成長していって欲しい。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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