【オークス】優勝:エリンコート

2011(平成23)年5月22日東京、G1・芝2400m、フルゲート18頭 雨・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (4) エリンコート 牝3 55.0 後藤浩 2.25.7 34.5 456( -2)
2着 (18) ピュアブリーゼ 牝3 55.0 柴田善 ク ビ 35.3 436( +2)
3着 (12) ホエールキャプチャ 牝3 55.0 池 添 ハ ナ 34.0 452( -2)
4着 (9) マルセリーナ 牝3 55.0 安藤勝 2 1/2 34.3 452( 0)
5着 (14) スピードリッパー 牝3 55.0 蛯 名 ク ビ 35.2 456( 0)
  • それにしても、柴田善騎手の逃げは実に絶妙だった。これがレースの内容、結果を決定的に左右したと言っていいと思う。この馬、先行して粘るイメージだったが、ここは有力馬に差し馬が多いことも考慮して、積極的な大外からの飛び出し。最初の1ハロンがこの時計の決着では突出して遅いと言える、12秒9だったのだから、いかに各馬が「行きたがらなかったか」が窺える。この瞬間に間髪入れずゴーサインを出した、テン乗りの柴田善騎手は素晴らしい。戦前、「距離が延びるのが楽しみ」としていたように、この馬の持ち味である粘り腰を前面に出すレース。これが好結果をもたらした。
  • だが、この逃げは非常に絶妙でありまたレース全体に影響を与えた。ペースはかなり例年に比べて特異なものとなり、前後半の1200mが72秒8−72秒9とほとんど同じタイムでの流れ。まず、この平均ペースに落とし込んだことが柴田善騎手の大きな貢献だろうが、この中身を見るとかなり細かいペース管理をしていることがわかる。まず、3ハロン目までに加速をつけると、4ハロン目にペースダウン。そしてまた6ハロン目でペースを少しだけ上げて、また直線に向けてペースを下げて脚をためるという、アクセルとブレーキをうまく使ってレースを作り出した。極端にペースを落としこみスローの上がり勝負に持ち込むのもひとつの逃げ馬の必勝法ではあるが、この馬は上がり勝負では切れ負けする危険があるタイプ。今までのレースでも上がりの時計は34秒台後半がやっと。今回は33秒台まで出せる馬もいるメンバー。そこで、柴田善騎手が選んだのは、スタミナを見込んでそのスタミナを生かしきって逃げ切るという、地力勝負の競馬だった。
  • そして、この逃げを最後まで勝ち負けに結びつけた要因としては環境的要因も挙げられる。それは、高速馬場と雨で湿った馬場だった。72秒台の前後半というのは、実は数値だけを見ると例年と比較してかなり速い。それがこの長距離で可能となったのは、馬場状態が高速馬場となっていたからだろう。このおかげで、最後の直線も最後まで前が止まらない馬場となり、ピュアブリーゼの粘りが可能となった。そして、もちろんこれには直前に降り出して馬場を湿らせた雨の影響も認められよう。特に雨は切れ味で勝負するタイプ、人気馬のマルセリーナ、ホエールキャプチャらの末脚の威力を減じたという点で前の馬に有利だった。
  • さて、この逃げ馬が作り出した地力勝負の展開は、勝負に加われる馬をかなり限定することとなったと言えよう。まず、後ろにいる馬には厳しい。72秒で後半推移する流れ。道中のこのペースでも35秒3での上がり時計。これでは、なかなか後ろが差し切ることは困難であった。一方、こういう条件は前の馬有利に働きうるのだが、何しろ各馬初めてのこの距離。当然、それなりのスタミナがなければさすがに走り切れない。事実、先行馬はピュアブリーゼ以外は脱落。とにかく、馬も立派だが柴田善騎手がピュアブリーゼのスタミナを間違いなく見積もり、それを活かす競馬をしたことが好走の理由だろう。
  • しかし、勝ったのはエリンコートだった。上述の位置取りはこの馬も絶妙だった。ちょうど馬群の真ん中ぐらいで待機。後ろ過ぎては届かない。前ではばてる危険もある。非常にいい位置で競馬ができた。直線に入ると外目に出して行き、徐々にスパート。半ばで審議となったスピードリッパーとの接触はあったが、最後までしぶとい伸びで後藤騎手に初クラシックタイトルをもたらした。2走前に2着に下していたピュアブリーゼを再度ゴール前でねじ伏せた。差し馬としては、比較的前に位置が取れるタイプ。その良さが出たが、何より馬場のおかげで極端な上がりの時計が不要となったことが大きい。これでパンパンの良馬場であれば、ホエールキャプチャの伸びは違っていただろう。その意味でもピュアブリーゼが今回のレースの演出家だった…。まだ幼い馬で楽しみ大きいが、少しタフなレースで力を発揮するタイプだろう。個人的には中距離のローカル重賞あたりで抜け出すような競馬が合っているような…。ともかく、次走が試金石となりそうだ。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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