【日本ダービー】優勝:オルフェーヴル

2011(平成23)年5月29日東京、G1・芝2400m、フルゲート18頭、雨・不良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (5) オルフェーヴル 牡3 57.0 池 添 2.30.5 34.8 444( +4)
2着 (1) ウインバリアシオン 牡3 57.0 安藤勝 1 3/4 34.7 496( -4)
3着 (7) ベルシャザール 牡3 57.0 後藤浩 36.7 542(+16)
4着 (10) ナカヤマナイト 牡3 57.0 柴田善 ク ビ 36.4 458( 0)
5着 (6) クレスコグランド 牡3 57.0 浜 中 アタマ 36.7 496( +6)
  • 不良馬場の東京競馬場。2年前の同じく不良馬場で開催されたダービーでは、内をついたロジユニヴァースが快勝。今年も同様に切れ味が減じる馬場で、内有利、先行馬有利と思われたが、ダービー前までのレースを見る限りでは、外もソコソコ伸びる馬場で脚質の有利不利は特に感じられなかった。さすがにいつものように33秒台など極限に近い切れ味は不可能ではあったが、いわば、不良馬場での2400mで本当の底力が出る地力勝負の舞台。今年は運のいい馬ではなく、本当に強い馬が勝つレースとなった。
  • 2冠が期待されたオルフェーヴル。今回は良馬場ではないという意味で切れ味が鈍ることが心配されたが、結果としては全く杞憂。ゲート開くとスッと下げて池添騎手、慌てずにいつもの位置取りで末脚を活かす作戦。これは自信の騎乗だろう。あくまで自分の競馬で勝負。2冠馬として勝ち方に拘るようなプライドを感じる道中だった。1000m通過はオールアズワンが飛ばして馬群を引き離して逃げたものの62秒4。確かに遅いが極端なスローではない。縦長の馬群を後方5番手でオルフェーヴルは進んでいく。一方で、2着となったウインバリアシオンもこの後ろ。結局上位2頭は後方待機の馬だった。これは何を意味としているか。
  • 展開上からのポイントは、先行争いが決着した後の3ハロン目以降の時計の推移だろう。今年のハロンタイムだがこの3ハロン目以降最も遅い時計が13秒2、最速が12秒ちょうど。わずかに1秒2しかない。これは過去10年で3番目に少ない。ちなみに、過去10回の平均は1秒7。この少ないタイム差は淀みない流れだったことを意味している。各馬にしてみれば、ほとんど息が入る区間のない、タフなレースだったことを示している。このような流れでは、先行馬は基本的には厳しい。事実、上述のように差し2頭が連対。先行馬は掲示板がやっとだった。では、後方の馬が全て有利だったのかというと、そうではない。これには不良馬場の影響があった。むろん、先述のように伸びる馬は伸びたが良馬場でのように、全ての馬がスパートをいつものようにできたわけではない。デボネア、ナカヤマナイト、サダムパテックらは伸びを欠いてしまった。こういう馬場ではやはり瞬発力だけではなく、「馬場適性」がなければそれを推進力に変えることができない。
  • この点ではオルフェーヴルは驚異的だった。直線では4コーナーで外へ。ナカヤマナイトに外からぶつけられ、内の馬と挟まれる苦しいポジショニングとなったが、そこから火が点くと一気のスパートで狭いスペースをこじ開け、皐月賞同様に一瞬でのテレポートのような瞬発力で先頭へ。この馬場でただ1頭次元の違う末脚。血統的にも渋った馬場、長距離でのタフな競馬は向いていると思われたが、ここまで圧倒的だとは…。池添騎手も、比較的伸びる馬場の中ほどを選択するファインプレイもあったが、馬の力が違いすぎた。一気に抜け出して文句なしの2冠タイトル。
  • このタフな流れで、この切れ味は立派。折り合いも位置取りも心配なし。池添騎手の教育課程を皐月賞で修了したと思ったが、ここでもきっちりとおさらい完了。あの位置で、この馬場でもいつもの瞬発力が使えるのだから、相当に強い馬。時計などは不良馬場で単純比較は難しく、またこの淀みない流れは追い込み馬に向いたのは確かだが、あの一瞬のキレ味…これだけでダービー馬に相応しいだろう。今年は東京で皐月賞開催というのは、この馬には幸運だったのかもしれない。その意味で格言と異なり、運のいい馬が勝った皐月賞だったが、強い馬が勝ったダービーとなった。広いコースであれば、まず崩れないだろう。距離のレンジも広く、こういう馬場で好走すれば、単純な発想ではあるがヨーロッパの競馬でも…という期待も高まる。世代のレベルはともかく、この馬は間違いなく競馬の歴史に残る可能性を秘めたスターホースだ。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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