【小倉記念】優勝:イタリアンレッド

2011(平成23)年7月31日小倉、G3・芝2000m、フルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (17) イタリアンレッド 牝5 55.0 浜 中 レコード 35.7 478( +4)
2着 (9) キタサンアミーゴ 牡5 55.0 熊 沢 1 3/4 35.8 450( +8)
3着 (6) リクエストソング 牡5 55.0 和田竜 1/2 36.6 490( -4)
4着 (4) ヤマニンキングリー 牡6 56.0 石橋守 ク ビ 36.4 490( -4)
5着 (18) エーシンジーライン 牡6 55.0 太 宰 1/2 36.8 490( +4)
  • 逃げ馬は何頭か候補がいたが、最内の絶好枠を引いたホクトスルタンが休養明けながら、自分の競馬とばかりにハナを主張。もう1頭、ハナに行きたいエーシンジーラインは逆に大外の18番枠を引いてしまい、多少前に行くものの先団での競馬を選択。スンナリとホクトスルタンのペースになるかと思いきや、時計はかなりの高速ラップ。3ハロンは何と33秒3。スプリント戦並みの猛烈ラップで隊列を引っ張った。結論から言えば、さすがにこれは飛ばしすぎ。1000m通過も57秒1。59秒台で前後半それぞれがおさまるラップが多いこのレースでここまで前がかりとなったのも異例だった。レコードタイムを導出したホクトスルタンの逃げが大きく結果を左右した。
  • さて、この厳しい流れで、先団を形成したのは3番人気コスモファントム、サンライズベガと予想された面々。さらには、積極策でリクエストソングも前々の競馬となった。そしてその後ろの中団の前にイタリアンレッド。1番人気のナリタクリスタルと、2番人気のアドマイヤメジャーは後方集団の前目の位置取り。この流れで人気馬の位置取りは様々。流れから言えば、前半ハイペースで後半は差し馬が有利というのが定石で、1、2番人気の馬たちにチャンスが出てきそうだが、結局差し馬は差しきれず。そして、厳しいと思われた先行馬でも粘って上位に食い込んだ馬も多かった。位置取りとは違う、別のファクターが働いたレースだったと言えよう。では、この明暗を分けたのは何だったのだろうか。
  • このレコードタイムは、実は前半3ハロンの時計のみが原因となって作られたものであるということを指摘しておきたい。つまり、全体が厳しいペースではなく、あくまで最初だけが激しい流れとなっていたということである。実際、4ハロン目以降の時計は、レースの最後までの合計が84秒ちょうど。84秒台は実に04年以来であり、ここ数年は83秒台が続いていた。つまり、道中はあくまで例年のラップだったということ。つまり、道中は案外に楽だったため、まず「ハイペースで差し馬有利」というセオリーでこのレースは理解できないこととなる。まして開幕週の馬場。後ろで控えるタイプはむしろこの流れでは厳しかったとさえいえる。ナリタクリスタル、アドマイヤメジャーは体調面も理由があろうが、展開面、この流れが速く前が止まらないというペースでは出番がなかった。
  • この展開はむしろ、先行馬に有利と言えるのではないか。道中は楽なペースで運べた上、馬場は絶好。ただ、小倉特有の高速ワンペースでは時計対応力が必要。これがなかったのがまずはコスモファントムだろう。3コーナーでもう付いていけずにムチ連打。4コーナーで白旗という淡白な競馬。この馬は、重賞ウイナーと格は上だがこの距離での時計は1分59秒まで。こういう平坦で極端にスピードの出る馬場はそもそも向かないのだろう。一方で、スピードのあるリクエストソング、ヤマニンキングリーは上位に粘れた。前者はマイルでここ数戦は戦ってきたスピード馬。この距離でも1分58秒5と最低限の時計はあった。後者も東京で1分58秒2。どちらもこの距離でのスピード勝負に対応する素地があった。その意味では、驚きはエーシンジーライン。2番手から味のある競馬で直線抜け出して一瞬、夢を見させたが。それでも、最後まで粘った。ここまで時計勝負ができること、2番手で競馬ができたのは収穫。もう少し短い距離でも今は面白いかもしれない。
  • さて、勝ったイタリアンレッドの勝因は上記とは別。前走と同様にこの馬は中団、ちょうど隊列の真ん中で位置取りを決めて直線差しきった。前走と同様に前が残りやすく、極端に後ろでは届かないという、中団差しの馬有利な流れとなったことで連勝。ただ、ここまでの時計勝負で差し切りという、強い勝ち方をしたのは素晴らしい。小倉はこれで5勝と抜群の相性。小回り平坦が合うのだろう。それにしても、前走で中団からの競馬を覚えてさらに切れ味に破壊力が増した。牝馬らしく小回りの短い直線で一瞬の切れ味を活かすタイプ。秋の大舞台で新しい面を見せられればまだ上を狙える素材。もっと短い距離でも面白いと思うが…。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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