【菊花賞】優勝:オルフェーヴル

2011(平成23)年10月23日京都、G1・芝3000m、フルゲート18頭、曇・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (14) オルフェーヴル 牡3 57.0 池 添 3.02.8 34.6 466( +6)
2着 (13) ウインバリアシオン 牡3 57.0 安藤勝 2 1/2 34.3 516( +2)
3着 (1) トーセンラー 牡3 57.0 蛯 名 1 3/4 35.2 436( +8)
4着 (12) ハーバーコマンド 牡3 57.0 木村健 ク ビ 35.5 466(-10)
5着 (11) サダムパテック 牡3 57.0 岩 田 1 1/2 35.9 502( -4)
  • 回顧すること自体が意味をなさない、そういうレースが年に何度かある。今回の菊花賞は間違いなくその一つだろう。それゆえ、ここから以下はオルフェーヴルがいかに強かったかというより、その他の各馬がいかにしてその着順となったこという説明になるだろう。ただ、それを承知でいつものようにレースを眺めて行きたい。スタート後飛び出したのは、予想の通りにサンビームだった。しかし、若駒が集う3000m戦。折合いがつかない馬も多かった。しかし、こらえ切れなかったのはフレールジャック。3コーナーからの下りで加速してしまうと、無理に福永騎手も控えることはせずハナへ。予想外の逃げ馬、フレールジャックがこの長距離レースを牽引していくこととなった。ここで、1番人気のオルフェーヴルは中団の馬群の中。絶好の位置取り。この時点で三冠の可能性は限りなく高くなった。また、その可能性を高くしたのは、2番人気ウインバリアシオンの位置取り。切れ味勝負では敵わないこの馬が、極限の切れを引き出すためか、最後方の位置取り。時計の出る今の京都ではかなりの奇策だったが、安藤騎手は勝つための競馬だったという…。ともかく、これで前の位置から脚の使えるオルフェーヴルにとっては、変にマークされず楽な競馬。位置取りのアドバンテージを生かして先手先手で動ける主導権を握れた。ただ、もう1頭の上位人気馬、トーセンラーはオルフェーヴルを最初から目標として直後でマーク。敢えてケアが必要ならこの馬だっただろう。ただ、もう勝負付けが春に済んでいる馬。池添騎手としてはあくまで自分の競馬をするだけ。
  • さて、1000m通過は60秒6。数字上は例年並みだが、高速馬場を勘案すればやや落ち着いた流れか。ただ、この後の流れが今回のポイントだっただろう。2000mまでの5ハロンは、62秒1。この時計は高速馬場としても速い。例年であれば、最初の1000mと比べて大体4〜5秒はラップが落ちるが、今回は1秒5だけ。淀みがないラップが続く。つまり、タメが利かないスタミナが要求される展開だったということだろう。フレールジャック自身がスムーズな競馬と引き換えに手にしたのはこの厳しいラップだった。実際、3コーナーで既にフレールジャックは体力を失ってしまい後退していく。代わって先頭に立ったのはロッカヴェラーノ。2番手にはサダムパテック。しかし、この3コーナーからいよいよ池添騎手が動き出した。
  • その下準備として池添騎手がうまかったのは2コーナーのコーナリング。それまで中団馬群の中で待機していたが、2コーナーを回る際の遠心力を利用して外に出した。あくまで馬ごみの中にこだわれば、ペースの割りにバラけなかったこのレースでは包まれて終わる危険もあった。だが、ここで早くも自分で動ける自由を掴んだ。この時点でさらに偉業に大きく近づいた。そして、外から3コーナーを過ぎてのスパートを実行。残り800mから6番手、そして4コーナー手前で4番手、3番手へと上昇していった。圧倒的なのはその後。ペースが厳しく、先行馬が脚を鈍らせていく中、直線で素早く先頭に立つとそのまま一気に突き抜けてトリプルクラウンを手にした。
  • もはやこの馬は同世代では敵なし。2歳時の気性の悪さが解消され池添騎手の教育によって、見事に爆発的な切れ味はそのままに、先団からその脚を使えるようになった。ここまで正攻法でなおかつ切れる脚が使える馬は今までいなかっただろう。距離の自由度も高くこういうタイプの馬は大負けしない。兄とは違い展開に左右されない。競走馬として完成期がいつだったかはキャリアが終わってから振り返られるものだが、今のオルフェーヴルは少なくとも新しい段階に達したということは確実に言えるだろう。馬体はまだ増え続け成長は続く。とにかく、古馬相手でもすぐにでも勝ち負けになる。ここまで安定感のある三冠馬は、久々ではないだろうか。新しいステージに日本の競馬を導いてくれる可能性を持った馬だ。とにかく拍手。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
    競馬を楽しむためのメルマガ!!★名古屋で冠レース!!活字量たっぷり読み物メイン!解説、ニュース、提言、クイズ、登録馬紹介、新馬診断・物語、グルメ、豆知識、コラム、地方競馬観戦記!
    規約に同意して