【ジャパンCダート】優勝:トランセンド

2011(平成23)年12月4日阪神、G1・ダート1800m、フルゲート16頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (16) トランセンド 牡5 57.0 藤田伸 1.50.6 37.4 520( -1)
2着 (9) ワンダーアキュート 牡5 57.0 和田竜 36.8 518(+14)
3着 (6) エスポワールシチー 牡6 57.0 佐藤哲 ハ ナ 37.6 500( +2)
4着 (4) ラヴェリータ 牝5 55.0 武 豊 1/2 37.5 516( +1)
5着 (13) ダノンカモン 牡5 57.0 福 永 ク ビ 37.5 528( +2)
  • スマートファルコンが出走を断念したとはいえ、秋2戦、この馬の能力を考えれば不満な競馬が続いていたトランセンドと、逆にようやくかつての状態を取り戻しつつあるエスポワールシチーの世代を越えた「超A級」馬の戦い。結果はどうあれ、3歳世代の代表格グレープブランデーの実力が未知である上、芝では最強世代とうたわれる、4歳勢力にダートでは主役不在という中で、この5、6歳馬の対決は、今後のダート界を占う上で重要にレースとなった。
  • 逃げタイプ2頭のガチンコ勝負だけに戦前の展開予想は難解。どちらが先に行くかで結果は大きく変わる可能性があり、馬券的な面白みは高いレースだったが、レースが始まると、結局行ったのはトランセンド。大外から飛び出すと、逃げの意思を若干見せたトウショウフリーク、ニホンピロアワーズを制し、ノシをつけて加速。1コーナーではやや強引に内に切れ込んだもののハナを確保して主導権を握った。藤田騎手の性格、番手でも競馬はできるが断然逃げた方が成績のいいこの馬の特性を考えれば、無理してでも行くだろうとは思っていたが、その通りの展開。一方でエスポワールシチーは最初から無理をせずに番手に控える競馬を意図していたのだろう。前走のみやこS(G3)の内容がそれを示唆していたが、トウショウフリークと並びながらの3番手を追走。後ろから見る形。悪くない位置取りで2頭のマッチレースが期待された。
  • さて、トランセンドが刻んだペースは力の要る阪神のダートでは平均的なペース。1000m通過が60秒9と阪神に変更となってからは、最も遅いペースではあるが極端なペースではない。12秒台を刻み続ける「ほど良い」ワンペースで藤田騎手がうまくレースを作る。スピードを活かしたいタイプで、もっとガンガン飛ばして行くというのも手ではあるが、エスポワールシチーが無理な競馬をせずに直線で勝負を挑んでくると見込んだのだろう。この馬場を考えて、そしてまたエスポワールシチーを意識して、一定の慎重さをもった逃げとなった。トランセンドにしては楽なペースだが、逃げてもエスポワールシチーは無理をして強引に競りかけられることはないという前提での逃げ脚。ただ、この一定の「ほど良い」ペースは、勝負どころの3〜4コーナーに至っても今年は変わらなかった点で他の年と違った。画面上では3コーナーからトランセンドにエスポワールシチーが急接近して2番手に上がり、ペースが一気に上がったかのように見えるが、実は12秒台の時計が続きまだペースは一定のまま。本来ではここのポイントでペースが大きく動いてもおかしくないのだが。ジックリと互いを牽制し合いながらの息をのむ戦いが続いた。
  • 一方で、これは他の馬にとっては誤算だっただろう。というのも、トランセンドとエスポワールシチーという稀代のダートのスピードスターの対決となれば、当然ある程度速くなると予想され、差し馬にとっては、3番手の座のチャンスが出てくると思っていたはずである。しかし、ペースは速くならず先行した人気薄のラヴェリータが4着に残り、差し馬たちはワンダーアキュートを除いて精彩を欠くという結果となってしまった。さて、4コーナーを過ぎて迫ったエスポワールシチーだったが、直線ではトランセンドが抜け出して独走状態。エスポワールシチーは、インから一旦ラヴェリータに前を許してしまうというシーンも。最後はラヴェリータをかわしたものの、後ろから伸びたワンダーアキュートに差されて3着。トランセンドが最後まで自分のペースを守りきって勝ちきった。
  • ドバイで輝いたトランセンド。秋2戦は満足の行く内容ではなかったが、これでスマートファルコン以外の馬たちは完全に勝負付けが済んだ。唯一、エスポワールシチーだけが乗り越えるべき壁だったが一蹴。これで再びドバイに向かう資格は得られた。自分のスタイルで逃げられればとにかくしぶとい。特に今年はスピードだけではなく、パワーが必要な馬場。それでも他馬を全く寄せ付けなかった。藤田騎手の馬を信じた作戦が奏功したといえる。ただ、やはり前走で完敗してしまったスマートファルコンとの対戦が、世界どうのこうのよりも見てみたいと思うのだが…。同型だが今回のように無理してでもハナを奪えれば結果は違う可能性も…。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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