【桜花賞】優勝:ジェンティルドンナ

2012(平成24)年4月8日阪神、G1・芝1600m、フルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (10) ジェンティルドンナ 牝3 55.0 岩田康 1.34.6 34.3 456( -4)
2着 (15) ヴィルシーナ 牝3 55.0 内田博 1/2 35.1 434( -4)
3着 (11) アイムユアーズ 牝3 55.0 ピンナ 1/2 34.9 450( 0)
4着 (13) サウンドオブハート 牝3 55.0 松 岡 1 3/4 35.0 448( -4)
5着 (7) メイショウスザンナ 牝3 55.0 武 豊 ク ビ 34.9 448( +8)
  • ジョワドヴィーヴルをめぐる争いとなるはずだった今年の桜戦線。しかし、チューリップ賞(G3)での敗戦で評価が難しくなり一転大混戦。一応の本命ではあったがむしろ、実力をここで示すための試金石となった一冠目のレース。同じく、チューリップ賞で案外の競馬をしてしまったジェンティルドンナも同様にここで力を示すため結果が求められるレースだった。前半は各馬、積極的ハナには立たず。マイネエポナ、エイシンキンチェムが先頭に立つが、アラフネが大外から一気に先頭へ。スローにも見えたが、実際には平均ペース。特に半マイルは47秒1とやや遅い程度で進む。1番人気のジョワドヴィーヴルは中団の後ろの外を追走。決め手を生かす競馬を狙う。ヴィルシーナは先団の外。そして、アイムユアーズ、サウンドオブハートもそれに続く。
  • だが、上位人気馬の中で2番人気のジェンティルドンナは中団で待機。岩田騎手はここでうまかった。ターゲットをジョワドヴィーヴルにはおかずに、アイムユアーズとサウンドオブハートに定めて、その直後に一旦位置を下げて道中を進んだ。過度に1番人気を意識せずに自分の競馬ができれば勝てるという自信の裏づけがあったのだろうが、とにかく自身よりも切れ味では劣るもののしぶとく前でレースの後半まで誘導してくれるだろう2頭を目標として、それを自分のタイミングでかわすだけという、極めてシンプルな作戦に徹することができた。これは素晴らしい。周りの雑音を遮断してあくまで2頭を目標にして動く…岩田騎手、自分の仕事を単純化できた。ペースも平均的なことから、即座にこの決断。仮にハイペースとなっていれば、もう少し下げて外に出す準備をするといった違う乗り方がありえただろうが…。この判断が全てだったとも言えるファインプレー。前走チューリップ賞では過度にジェンティルドンナを意識して、その後ろで立ち回ったことも反省もあったのかもしれない。
  • さて、ペースは平均だったが特徴的だったのはギリギリ、残り400mまでペースが上がらなかったことだろう。この地点、つまり1200m通過のタイムは1分11秒4。これは過去10回で07年に続くもっとも遅いタイム。このレースの特徴は例年、後半の半マイルに至るとペースアップが始まってマイルにも関わらずかなりタフなスタミナの削りあいとなり、最後後方待機の馬の出番が出てくるというパターンなのだが、今回は直線に入っても先行馬を脅かす馬が現れなかった。ジョワドヴィーヴルは、後方でもがき続けていた上、ヴィルシーナ、アイムユアーズらも後ろを警戒してか抑えたままで直線。長い直線に備えて待機を続けたため12秒台が続くという異例の流れに。これは、ジェンティルドンナに向く流れとなった。2つ理由がある。
  • まず一つは残り400mの勝負となったことで位置取りの利が生かせたこと。楽なペースで各馬脚が溜まっていたため、言わば上がりの脚比べ。ここでジョワドヴィーヴルはまだ後方。残り400mで逆転するにはかなり厳しいビハインド。これでライバルを怖れる必要はいよいよなくなった。そして、二つ目はこの短い区間での瞬発力比べこそ、この馬の長所を引き出せる展開だったことだろう。シンザン記念(G3)で見せた一瞬の伸びと反応の良さ。これを生かすには持って来いの流れ。岩田騎手、目標にしていたアイムユアーズについていくようにスパート開始。すると、最初はややふらついたもののギアチェンジをスムーズに完了。食い下がるヴィルシーナ、アイムユアーズと坂上まで叩きあいとなったものの、最後は力で捻じ伏せて桜の女王となった。
  • 折り合いに不安もあったが確実にレースごとに成長。今回は前半で岩田騎手が手綱を引いた後、しっかりと折り合っていた。前走は熱発後ということもあってか凡走。しかし、今回は切れ味を見せつけた。さて、今年の牝馬戦線はかなりの大混戦でこの勝利をもってオークス(G1)を展望するというのはなかなか難しい。一瞬の決め手は評価するが、ディープインパクト産駒に多くマイラーが出ているようにこの馬もスピードとキレで勝負するタイプと思う。スタミナがないわけではないだろうが東京のタフな流れで長い区間で伸びる底力があるかは…。距離が延びれば当然、折り合いの不安も再燃する…。むしろNHKマイルカップ(G1)の方が合っているのではないかと思うが。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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