【天皇賞・春】優勝:ビートブラック

2012(平成24)年4月29日京都、G1・芝3200m、フルゲート18頭、晴・良

順位 馬番 馬名 性齢 斤量 騎手 着差 上り 馬体重
1着 (1) ビートブラック 牡5 58.0 石橋脩 3.13.8 36.5 512( -2)
2着 (16) トーセンジョーダン 牡6 58.0 岩 田 34.0 478( -4)
3着 (11) ウインバリアシオン 牡4 58.0 武 豊 33.5 512( -2)
4着 (5) ジャガーメイル 牡8 58.0 四 位 ク ビ 33.6 476( -4)
5着 (8) ギュスターヴクライ 牡4 58.0 蛯 名 1 1/2 34.4 494( -4)
  • ビートブラックの勝因はまず馬場だろう。前が止まらないパンパンの馬場で、タイムの数字と実際の消耗度がずれるような特殊な条件となっていたことで、前が悠々と飛ばしていけた。長距離ではありがちの大逃げでビートブラックとゴールデンハインドが飛ばしていって最初の1000m通過は60秒ちょうど。ただ、前日に短距離戦でレコードタイが出るほど時計が出る馬場だった京都。この時計は実は額面通りではなく数字よりもゆったりとした流れだったのではないか。この時点で隊列は「後ろ掛かり」。1、2番人気の馬は共に差し馬で各馬が後方に注意を傾注することとなり、縦長の隊列。最初の4コーナーに先頭が到達した時点で、全体が20馬身以上にばらける。オルフェーヴルはヒルノダムールの後ろ後方3番手。最初の直線へ。この時点での有力馬の位置関係はほぼ予想通りだろう。ただ、ペースが見た目以上に緩慢。無謀な逃げではなかった。石橋騎手、馬場を踏まえての作戦だったが、タイムと実際の消耗度が異なるという幻惑的逃走を打っていく。次に2000m通過は2分1秒9。これは例年に比べてかなり速い部類。見た目上も隊列はさらに縦長となり前の2頭と馬群の差は20馬身以上となってしまう。向こう正面時点、目測で3秒程度の差と大きなリード。後続は当然まずはオルフェーヴルをマークする動き。前の2頭は人気薄。これだけ大差で飛ばしているのだから直線までには交わせるだろうという目論見があったはずだ。
  • 確かに3コーナーでゴールデンハインドは後退。しかし、重賞級の能力があるビートブラックは、このペースでもまだ余裕。ここでビートブラックのもう一つの勝因、石橋騎手の判断があった。この直前、2000m通過後ビートブラックは早くもペースを上げに掛かっているのである。例年であればここでもまだ脚をためて各馬、3コーナーの坂からジワッとペースを上げていくが、石橋騎手は積極的に向こう正面から仕掛けていく。これこそ、ここまでのペースが楽だったことの証左だろう。余力がなくてはこのスパートは不可能。ここでリードをさらに広げた。一方でトーセンジョーダンなど後続馬たちは3コーナーから例年通りのスパート。オルフェーヴルの動向を気にしつつもさすがにこれ以上、前を行かせるわけにはいかないという判断だろう。だが、ここでもまだ先頭との差は3秒近くあったと思われる。この400mいつもより速いタイミングのスパート。仕掛けの「ずれ」で、石橋騎手がビートブラックにセフティーリードを与えることに成功。これが早過ぎれば最後まで脚が持たなかっただろう。また、遅すぎれば後ろの切れ味自慢たちとヨーイドンとなっていたことだろう。この仕掛けは絶妙だった。4コーナーに至ってもまだ2秒の差。ここでの時計、残り400mまでのタイムは2分49秒0と過去最速。最後の1000mは11秒台連発の厳しい流れだが何度も書くように時計の出る馬場。スイスイとビートブラックは逃げ脚を伸ばして、直線でも2秒のリードをキープ。懸命に追い込むトーセンジョーダンを尻目にして完勝。
  • 勝因は上記の、馬場を利用した幻惑逃走と、仕掛けのタイミングの二つだろう。もちろん馬の能力も一定程度なければできない作戦ではある。自在性のある馬ではあるが、勝ち味の遅いタイプ。逃げという戦法はその欠点を補う意味でもいい作戦だった。ただ、今回はノーマークで特殊な馬場だからこそできたレース。次も同じようなレースはできない。
  • さて、オルフェーヴルだが11着と惨敗。前半後方に控えて脚をためる構え。いつも末脚が約束されたと思ったが…。オルフェーヴルの敗戦は、能力的な問題ではないだろう。一つは池添騎手が仕掛けを我慢しすぎたことは否定できない。この馬が勝つには2通りの仕掛けのパターンがあったと思う。一つは自力で負かしに行くような早仕掛け。そしてもう一つは直線だけで絶対的な末脚によって帳尻を合わせる乗り方。後者を結果的に選択したこととなったが、このビハインドは怪物級の末脚でも不可能。直線向いた時点で4秒近くも先頭と差があった。先頭との差は結果的に1秒8。これでは32秒台の末脚がなくては届かないだろう…。凱旋門賞挑戦は黄色信号。無理して参戦する必要もないのでは…。この馬はこの馬の頂点を極めればいい。
  • 研究員アサノ プロフィール
    レース回顧やコラムが中心の競馬メルマガ「2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン」主筆。早稲田大学にて助手を務めた後、現在は某研究機関にて地域政策研究に従事。趣味は全国の競馬場巡りで、これまでに中央地方合わせて20以上の競馬場を踏破している。
  • 2回中山3日目やや重−中央地方競馬マガジン
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